ここでは、このウェブサイトの制作背景や制作方法、コンテンツの意図についてご説明します。

制作について

本サイトの制作の目的や使い方について説明します。

制作の背景と目的

まずは、本サイト制作の背景と、制作の目的について説明しますね。

背景

このウェブサイトは「令和2年度 日本語教育人材の研修プログラム普及事業」として実施された「「生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修」(以下、「本研修」) の一環として、研修実施機関であるインターカルト日本語学校が制作しました。

目的

振り返る&新規に学ぶ

本事業の行われた研修について、研修参加者がこれを振り返ることができるようにすると共に、研修に参加しなかった人にも生活者としての外国人に対する日本語教育について、これらの研修の内容を学べるようにするため、本サイトを制作しました。

誰に何を提供するか
本研修を受講した人研修の内容を振り返る機会を提供する
受講しなかった人生活者としての外国人に対する日本語教育について知り、考える機会を提供する

実践につなげる

実際の現場で役立つのは、ここで得た「知識」よりも、その知識に基づいて「自分で考える力」だと思います。このような観点から、本サイトの各講座は、生活者への日本語教育に役立つ知識を身につけるだけでなく、それについて受講者自身が考え、自身の意見としてアウトプットすることで、実際に現場に出たときにそれを活かせるようになることを目的とした設計になっています。

より多くの人に

この講座はより多くの人に活用してもらうため、パソコンだけではなく、スマートフォン端末やタブレット端末上からも閲覧できるようにして閲覧の利便性を高めることにしました。このため、PDF 等の文書ファイルのネット配信という形ではなく、端末によって自動でレイアウト調整されるレスポンシブデザインのウェブサイトという形式で制作することにしました。

このように、モバイル端末にも対応させるため、研修内では口頭や文章で説明されていた箇所についても、図表やアニメーションで提示するようにするなど、分かりやすさを重視して制作しました。

制作意図と使い方

では、このサイトの内容と使い方についてご説明します。

内容

本サイトは12の講座ページから成ります (内容は本ページの「講座内容」セクションに記載) 。これらの講座ページの内容は実際に行われた研修の内容を参考にして制作されています。ただ、シラバスは本サイト用に新規に作り直したもので、このシラバスに合わせて、研修の内容を精査・抽出して制作したものなので、行われた研修と同一ではありません。 (詳しくは本ページの「シラバス・コンテンツについて」を参照)

サイトの使い方

本サイトは、一人で使用する場合とグループで使用する場合の二種類のスタイルでの使用を想定しています。一人で使用する場合は、各講座ページの内容を読み、「考えてみよう!」セクションで自分の考えをまとめます。グループで使用する場合は、個人個人で各講座ページの内容を読み、「考えてみよう!」セクションでは、自分の考えをまとめると共に、グループの他のメンバーと考えを共有し、さらに発展させます。

学習スタイルと使用方法
ひとりで:講座の内容を読み、「考えてみよう!」セクションで自分の考えをまとめる。
グループで:グループのメンバーと一緒に講座の内容を読み、「考えてみよう!」セクションでグループのメンバーと考えたことを共有する。

制作に関する留意点

一年間にわたって行われた多岐にわたる内容の研修をまとめたこと、また、モバイル端末での閲覧も想定したウェブサイトという形にしたことから来る留意点がいくつかあります。

シラバス・コンテンツについて

ウェブサイトとして最適化した形式で研修を提供するため、本サイト用にシラバスを構成し直しました。この過程で、実際に行われた各研修の内容を精査し抽出した上で各講座ページを作成しました。このため、研修の内容が全てこの講座に含まれているわけではありません。

また、本サイトの各講座には参照元の研修がありますが、文書として、あるいは、ウェブサイトとしての読みやすさに合わせて大きく編集した部分もあります。例えば、口頭で行われた研修を文字化したり、モバイル端末用に視覚化するという過程で、大幅に変更した部分があります。補足が必要だと思われる箇所については制作担当者の判断で全く新規に書き加えられた内容や追加された資料等もあります。このため、各講座ページ内の表現や図表、言及されている引用元資料などは、必ずしも参照元となる研修内の講師の発言や提示された資料等とは同じではありません。

一部の表現について

本サイトのコンテンツはウェブ上のコンテンツとしてパソコンやタブレット端末、スマートフォン端末で閲覧されることを想定したものです。このため、講座サイト内で一部の表現がモバイル端末等での可読性 (readability) を優先して使用されている場合があります。例えば、生活者としての外国人に対する日本語教育においては、外国人と日本人が対等な関係であることが重視されるため、「指導者」や「学習者」、あるいは「支援」という表現の使用は適切ではないという考えもあります。しかし、これらの言葉を言い換えた結果として文章が長くなったり、文の意味が曖昧になったりすることがあるため、一部の箇所では、あえてこれらの表現を使用しています。

引用元の文章の強調について

上記と同様の理由から、別の文献からの引用文がある際に、引用内で講師やサイト制作者が下線・太字等で強調した箇所についても、講師や制作者による強調である旨を明記していない場合があります。これも、ウェブサイトとしての読みやすさを優先したためです。基本的に、強調箇所は講師あるいは制作者によるもので、引用元の資料内で既に強調されていた箇所については、その旨を明記してあります。

シラバス

本サイトの構成を全体的な構成と各講座の内容に分けて説明します。

講座の構成

本サイトの全体的な構成は、以下の通りです。

全体の構成

本サイトの講座は、大きく分けて「(生活者に対する) 日本語教育」と「多文化共生」、「地域の日本語教室」の3つのパートに「導入」パートを加えた4パート構成となっており、導入パート以外の3つのパートは、さらに、「理論・概念編」と「事例・実践編」に別れています。

パート

各パートの目的は以下の通りです。 (クリックで展開します)


導入パートの目的
生活者への日本語教育が社会的にどのような位置付けにあるのかを知り、多文化共生と社会統合の重要性を意識しながら、日本語教育に取り組むことの意義について、自分自身の考えを持てるようになること。
日本語教育パートの目的
「生活者」という側面に焦点を当てた日本語教育というものがどのようなものなのか、また、そのような教育を行う教育プログラムを企画・実践するためのノウハウ等について学び、現場での活動に活かせるようになること。
多文化共生パートの目的
受講者が生活者への日本語教育の先にある大きな目的である「多文化共生」について知り、自身で考えるための知識を身につけること、そして、実際に多文化共生の推進に取り組むに当たって必要な事柄を知り、実践に活かせるようになること。
地域の日本語教室パートの目的
日本語教育と多文化共生が交差する場所としての地域の日本語教室のあり方と地域における役割について、自分自身で考えられるようになること。また、この役割を果たすような活動を行っていくために参考となるノウハウについて知り、実践に活かせるようになること。

 編 

「理論・概念編」と「事例・実践編」の目的は以下の通りです。 (クリックで展開します)


理論・概念編の目的
当該のパートに関する一般的な知識や背景的な情報などを知ることを目的としています。これによって、続く「事例・実践編」の内容を適切に理解し、受講生が当該の事例に関して自身の考えをまとめられるようにすることを目的としています。
事例・実践編の目的
ここでは、具体的な事例を元に当該のパートに関して考えたり、実践に活用できるような知識を得たり、それらについて自分自身の考えをまとめたりすることで、実際に現場で活用できるような形で知識や技術を身につけることを目的としています。

講座情報

各講座ページの先頭には「+講座情報」というテキストが表示されています。ここをクリック・タップすると、講座ページの制作のために参考にした研修と担当講師、及び、ページの編集・制作に関わった担当者の名前と所属が表示されます。

「考えてみよう」セクション

各講座ページ内には複数の「考えてみよう」セクションが設置されています。このセクションでは、講座内で知ったことを元に自分の考えを整理したり、他の人の考えを聞いたりすることで、得た知識を受講者自身のものとすることを目的としています。

講座の内容 (シラバス)

以下が、講座の一覧です。講座のタイトル部分をクリックすると、講座の概要が表示されますよ。

導入パート
1. 生活者としての外国人」への日本語教育を取り巻く社会的状況
現在、日本という国において「生活者への日本語教育」がどのように位置づけられているのか知ることが目的です。日本の抱える生産年齢人口の減少と高齢化の問題を解消するためにも重要だと考えられている多文化共生と社会的統合、そして、そのための手段としての日本語教育の重要性を国の施策等と併せて考えます。
日本語教育パート
2.1. 「生活者」という視点と言語教育の発想の転換 (理・概)
生活者への日本語教育において「できる (Can-do)」ことを重視する点を、その背景と共に理解することを目的としています。受講者が文化庁のカリキュラム案の考え方と、ヨーロッパ言語共通参照枠の理論的背景等を理解し、これらに基づいて日本語教育について考えられるようにすることで、次以降の講座の内容をより適切に理解し、実際の授業に活かすことができるようにします。
2.2. ① 日本語教育プログラムの企画と実践 (事・実)
日本語教育プログラムの企画・実践において参考となる文化庁のカリキュラム案5点セットの内容と意義を知ることを目的としています。また、受講者がこれらの資料を自身の工夫と組み合わせて使用できるようになることで、地域の実情や学習者のニーズに合った教育プログラムの企画から実践、改善を行えるようにします。
2.2. ② 教材・素材の探し方と選び方のポイント (事・実)
実際に授業を行う際に使用できる教材を紹介したり、教材を選ぶ際の重要なポイントを紹介しつつ、教師と学習者の「ビリーフ」を反映した教材を選ぶことの重要性について考えます。また、教材の素材を身の回りから見つけるためのアイデアなどを紹介します。これにより、受講者が学習者のニーズに合った授業を行うための教材や素材を選択できるようにします。
多文化共生パート
3.1. 多文化共生の意義と地域における取り組みの変遷 (理・概)
多文化共生の定義から日本における成り立ち、そして自治体による取り組みの変遷などを概観していきます。また、多文化共生について考える際に使える概念等について理解し、受講者自身が多文化共生についての自身の意見をまとめて述べられるようにします。
3.2. ① 多文化共生をめざした地域の取り組み (事・実)
島根県における実際の多文化共生推進への取り組みを元に、どのようにしてこのような取り組みを企画・立案していくのかについて構造化された手順を示します。これにより、受講者が自身で地域における課題を見つけ、それに取り組めるようにします。
3.2. ② 多文化社会におけるアイデンティティと少数派の尊重 (事・実)
まず、多文化社会における少数派のアイデンティティに関する事例を沖縄を例にして提示し、次いで、少数派を尊重してダイバーシティを実現するための事例として台湾の例を見ます。これらの例に触れながら、受講者がこれからの日本社会のダイバーシティのあり方について考え、意見を述べられるようにします。
3.2. ③ ライフコースを見すえた外国人児童の支援 (事・実)
外国人児童の支援について、現在の生活と将来の人生までを見すえたサポートの重要性について考えるための材料として、先行研究を紹介したり、元外国人児童のインタビュー VTR を閲覧したりします。受講者が日本語教育を生活・人生の一部として考える視点で支援を行えるようにします。
地域の日本語教室パート
4.1. 地域における日本語教室の役割とあり方 (理・概)
地域の日本語教室を多文化共生の最前線の場として捉え、従来の「教える-学ぶ」という関係とは異なる関係を構築しながら支援を行っていくことの重要性について学びます。これにより、受講生が地域における教室の役割を明確に意識しながら、日本語教室での活動に取り組めるようにします。
4.2. ① 「参加型学習」を支援に活かす (事・実)
開発教育のメソッドである「参加型学習」を紹介し、日本語教育で重要とされる教育・習得理論と併せてその意義を考えます。受講生が、日本語教室において、「教える」のではなく「互いに教え合う」という活動について考え、企画することができるようになることを目指します。
4.2. ② 「質問力」を磨いて支援に役立てる (事・実)
支援対象の外国人から話をうまく引き出せるようになるための技術について、言語運用能力測定試験と司法面接の手法を元に考えていきます。受講者が、地域の日本語教室で日本人がリードしすぎないようにして話を展開させていくことができるようになることを目指します。
4.2. ③ 地域の日本語教室の「実際」について知る (事・実)
地域の日本語教室について、理想とは異なる部分もある「実際」の部分について、講師による経験談を元に考えていきます。また、日本語学校と日本語教室の連携などについても考えることで、受講者が「日本語教室」と「日本語学校」の壁を超えた広い視野で生活者への日本語教育について考えられるようにします。

*「理・概」は「理論・概念編」、「事・実」は「事例・実践編」を示します。

協力機関・講師

このサイトの制作に当たって協力を得た機関や講師のみなさんは、以下の通りです。

協力機関

制作作業に当たった機関名の一覧です。

機関名作業内容
インターカルト日本語学校サイトの企画
ICLC 国際言語文化センター附属日本語学校講義内容の文書化
専修学校久留米ゼミナール 日本語学科講義内容の文書化
ふくしま多言語フォーラム講義内容の文書化
Semiosis 株式会社サイトの企画
講義内容の文書化
画像の作成
アニメーションの制作
講義内容の加筆・編集・構成
各講義ページのデザイン・制作
サイトのデザイン・制作

参照元研修の担当講師

講座ページの参照元となる研修の担当講師の一覧です。(敬称略・研修担当日順に記載)

所属 / 役職氏名
特定非営利活動法人 日本語教育研究所 理事長西原鈴子
一般社団法人 ふくしま多言語フォーラム中川祐治
公益財団法人 しまね国際センター 多文化共生推進課長仙田武司
インターカルト日本語教員養成研究所 所長加藤早苗
徳山大学国際交流部門 准教授立部文崇
沖縄大学 特任教授・沖縄国際大学 非常勤講師石原嘉人
凡人社 編集部渡辺唯広
凡人社 編集部大橋由希
国際教養大学 専門職大学院 日本語教育実践領域代表伊東祐郎

問い合わせ

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