ここからは「実践ワーク」コーナーです。ここでは「講座」コーナーで学んだ様々な知識を踏まえて、より実践的な課題と、それに対する取り組みを実際に考えてもらいます。

はじめに

ここからは「実践ワーク」コーナーです。ここでは「講座」コーナーで学んだ様々な知識を踏まえて、より実践的な課題と、それに対する取り組みを実際に考えてもらいます。

みなさん、「講座」パートでいろいろな知識や視点を身につけられたでしょうか?ただ、実際に日本語の学習支援を含む多文化共生に役立つ活動を行っていくには、実際に自分自身で課題を見つけ解決への取り組みを工夫していく必要があります。

3つのワーク

この「実践ワーク」パートでは、「講座」コーナーで学んだ「多文化共生」「日本語教育」「日本語教室」の3つの項目について、ひとつずつテーマを準備してあります。これらのテーマについて、課題を探し、それに対する取り組みを考えます。

デザイン思考

ただ、突然「取り組みを考えて。」と言われても、なにからどうしていいのか、なかなか分からないかもしれませんね。そこで、ここでは「デザイン思考」をヒントに、みなさんと一緒に地域の多文化共生に関する課題への取り組みを考案していこうと思います。このパートでは、まず、このデザイン思考的な地域の取り組みへのアプローチについて考え、それから、それぞれの実践ワークに進んでいきたいと思います。

構成と進め方

では、「実践ワーク」パートの構成と進め方を説明しますね。

ここでは、以下のような流れで地域での取り組みに関するケーススタディを行っていきます。

  • (1) 取り組みをデザインするアプローチ方法を知る
  • (2) 実践ワークで地域の取り組みをデザインしてみる

まず、 (1) で、地域の取組をデザインするためのアプローチについての講義を受けます。そして、(2) で、この講義の内容を生かして、3つのテーマに基づいた各実践ワークにチャレンジします。

では、この (1) と (2) の概要を見ていきましょう。

(1) 取り組みをデザインするアプローチ方法を知る

実践ワークを行う前に、デザイン思考的な考え方で地域の多文化共生の課題に取り組めるように、課題を見つけて取り組みを行うまでの流れを学びます。

講義内容
多文化共生をめざした地域の取り組みをデザインする地域における外国人生活者支援に関する課題を見つけ、取り組みを行うための方法を知る

この講義では、島根県の「しまね国際センター」の取り組み例をもとに、課題を見つけて解決するまでの流れを参考にしながら、地域の取り組みの方法について学びます。

(2) 実践ワークで地域の取り組みをデザインしてみる

地域の取り組みの方法について知ったら、いよいよ、実際にワークを行っていきます。ここでは、多文化共生・日本語教室・日本語教育に焦点を当てた3つのワークが準備されています (以下の表を参照) 。それぞれのパートに取り組むタスク (表の「タスク」列) が設定されています。

タスク取り組み
多文化共生外国人生活者の、見えない「壁」を取り除く災害時の状況から考える取り組み
日本語教室地域の人々による日本語学習支援の場をデザインする空白地域の事情から考える取り組み
日本語教育生活者の学習事情に合わせた ICT 教材をデザインする教育テクノロジーの特長から考える取り組み

これらのタスクに具体的・実践的に取り組めるように、特定のテーマ (表の「取り組み」列の強調部分) が設定され、そのテーマに関して取り組 (表の「取り組み」列) みを行っていきます。

最初でも少し述べましたが、この「実践ワーク」の目的は、みなさんが自身で状況を分析して課題を見つけ、取り組みを考えることができるようになることです。このため、以下のような流れで取り組みについて考えていただきます。

まず、 ① 上のテーマに関する状況や事情を把握し、② それを分析的に振り返って取り組むべき課題を見つけ出し、③ 取り組みの内容を考える、ということをしていただきます。また、④ 実際の取り組み事例に触れて自分の考えた取り組みを振り返り、今度は自分自身で設定したテーマに取り組みます。

各ワークは、みなさんと同じ、日本語教師の経験があるものの生活者の学習支援は行ったことがないという「フミ」さんと一緒に進めて行きます。

フミです!みなさんと一緒にワークに取り組んでいきます!

取組へのアプローチ方法の講座は「文化庁 「生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修 (令和2年度)」と「 生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修 (令和3年度) 」それぞれのワークは「 生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修 (令和3年度) 」内の下記の研修内容と関連しています。*

  • 地域における多文化共生を目指した取組〜実践編〜 (2020年11月7日)
  • 日本語活動をデザインする (2021年11月20日)

各実践ワークは「 生活者としての外国人」に対する日本語教師【初任】研修 (令和3年度) 」内の下記の研修内容と関連しています。*

  • 災害時に向けての支援 (2021年11月20日, 2022年1月15日, 2022年1月29日, 2022年2月12日)
  • 空白地域における日本語学習支援 (2021年11月27日, 2022年1月15日, 2022年1月29日, 2022年2月5日)
  • 生活者としての外国人のための電子教材 (2021年12月4日, 2022年1月22日, 2022年2月5日, 2022年2月19日)

*ウェブページ向けの内容にしてあるので、本サイト内の表現や図表等の資料、引用元などは研修内のものと必ずしも一致しません。

取り組みへのアプローチ方法について

地域における取り組みを計画して実行するに当たって、どのような方法で行っていけばいいかを見ていきましょう。

ここでは、島根県における外国人生活者をサポートする取り組みを例に、地域の課題を解決するための取り組みを考えるに当たってのアプローチ方法を「デザイン思考」的な観点から見ていきます。次からの「実践ワーク」でも、この方法・考え方を用いて地域での取り組みについて考えていきます。

地域における、多文化共生や日本語学習支援の取り組みを行うに当たって、どのようにして目的を設定して実行していけばいいかを、「デザインする」という観点から見ていきましょう。

・多文化共生をめざした地域の取り組みをデザインする

START!

講座の引用元:2020年11月7日 の研修 (仙田武司 講師)

実践ワークで取り組みをデザインする

ここからが実際のワークになります。ワーク①〜③のどれからしても構いません。以下の枠内の「START」ボタンをクリックすると各ワークのページに飛ぶことができます。

ワーク ① <多文化共生>
安全で安心した多文化社会形成への取り組みをデザインする

外国人にとっても「安全で安心した生活」を送れる社会を作っていくために私たちができる取り組みは何でしょうか?

テーマ 「災害時の状況から考える」

日常生活ではあまり目立たない見えない壁が、実は外国人生活者の安全で安心した生活の障害となっている場合があります。これらの壁について考え、どうやって解消できるかを考えて行きましょう。

・安全で安心した多文化社会形成への取り組みをデザインする

START!

ワーク ② <日本語教室>
地域の人々による日本語学習支援の場をデザインする

外国人生活者が日本語学習の機会を得たり、地域との接点をもったりしやすくするための仕組み作りについて考えましょう。

テーマ 「空白地域の事情から考える」

外国人生活者が日本語学習の機会や、地域との接点をもちにくい状況にある地域があります。これらの地域における事情を分析し、それを解消するための取り組みについて考えてみましょう。

・地域の人々による日本語学習支援の場をデザインする

START!

ワーク ③ <日本語教育>
生活者の学習事情に合わせた ICT 教材をデザインする

個々の学習者の事情に合った教材作りを、テクノロジーを活かして行ってみましょう。

テーマ 「教育テクノロジーの特長から考える」

一概に「外国人生活者」と言っても、必要としている日本語の種類や、学習に割ける時間などは様々です。近年の教育テクノロジーの特長を活かせば、このような学習者の個別性を考慮し、それらに対応した教材も作れるでしょう。どのような教材が作れるか考えてみましょう。

・生活者の学習事情に合わせた ICT 教材をデザインする

START!

さいごに

全ての実践ワークをやってみて、どうでしたか?

実際の外国人生活者支援の現場では、その地域や教室、学習者なりの課題が存在すると思います。これらの個別の課題にどう柔軟に対処していくかがとても重要です。

今回の実践ワークが、これからのみなさんの取り組みに役立つといいですね!