講座情報
  • 参考にした研修:2020年11月24日 の研修 (加藤早苗 講師)
  • 制作者:都築鉄平 (Semiosis)

この講座では、日本語教育の実践に際してみなさんがぜひ知っておいた方がいい資料とその内容についてご紹介します。

この講座で紹介していく資料『「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案』を初めとする5点セットは、前の講座でも触れたように、生活者という側面に焦点を当てた、実用的な教師・コーディネター向けの資料になっています。もし前回の内容を忘れてしまった方は、この講座を進める前に、もう一度前の講座の該当箇所を見直してみてください。

生活者としての外国人に対する日本語教育カリキュラム5点セット

生活者としての外国人に対する日本語教育を行うに当たって、教育プログラムを企画し、実行していくためには何が必要でしょうか?ここでは、このような教育プログラムの企画・実行に際して参考となる資料の概要について説明します。

教育プログラムの作成と実施

教育プログラムは、どのような流れで企画・実施されていくのでしょうか?

生活者としての外国人に対して日本語教育を提供するに当たって重要な点に、地域や学習者によって異なる多様な学習ニーズに応える必要がある点や、行動・体験中心の教育を提供する必要があるという点があります。このため、地域で生活する外国人に対して日本語教育を提供する際は、以下の図のようにニーズに合わせた活動主体の日本語教育プログラムを作成して実践し、それを継続的に改善していく必要があります。

アニメーションが再生されない場合

このような教育プログラムを作成・実施するには、まず指導内容を決めなければなりませんが、そのためには生活者としての外国人ができるようになるべき生活上の行為の全体像 (1) が見えていなければならないでしょう。さらに、これらを元に一貫性のある教育プログラムを作成 (2) し、活動・体験主体の授業 (3) をする必要があります。また、学習者の継続的な日本語能力の向上のために、評価や記録 (4) をつけていく必要があります。さらに、教育プログラムは継続的に振り返って改善 (5) していく必要があるでしょう。

このように言うと、すごく難しいことのように見えるかもしれませんね。でも、このような教育プログラムを作成して実践するに当たって指針とすることのできる、非常に便利なセットがあるんです。

「標準的なカリキュラム案」5点セット

教育プログラムの実践者を手助けするために作られた資料をご紹介します。

そのセットというのは、文化庁が作成した「標準的なカリキュラム案5点セット」と呼ばれるもので、それぞれが上で見た1〜5の各段階で活用でき、それらの内容について、詳細かつ具体的に説明されています。

「標準的なカリキュラム案」5点セット

「標準的なカリキュラム案」は、2010年から2013年にかけて文化審議会国語分科会に設置された日本語教育小委員会が、外国人が日本社会の一員として日本語を用いて円滑に生活を送ることができるよう、「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容・方法について計画的な検討を行い、順次取りまとめたものです。

この5点セットは上のような冊子にまとめられています。詳しくは次のセクションから見ていきますが、それぞれ、以下のような内容になっています。

1. 「標準的なカリキュラム案について」(PDFリンク)

「生活上の行為」の事例が網羅的に分類されており、学習者に教える内容を決めるのに役立ちます。


2. 「活用のためのガイドブック」(PDFリンク)

実際に教育プログラムを作成するための手順が具体例と共に示されています。


3. 「教材例集」(PDFリンク)

活動・体験主体の授業を行うのに必要な教材例が多く記載されており、作成のための手順も示されています。


4. 「日本語能力評価について」(PDFリンク)

継続的な日本語能力の向上を目的とした評価として、ロールプレイによる評価とポートフォリオ形式での記録のし方が示されています。


5. 「指導力評価について」(PDFリンク)

指導力を評価して指導力ポートフォリオの作成する手順が示されており、教育プログラムの継続的な改善につなげるための活用法が示されています。

このセットは、文化庁のホームページから申し込んで取り寄せることができます。また、上のリンク先から PDF ファイルとしてダウンロードもできます。

では、以下では、これらをひとつずつ見ていきたいと思います。より詳しく見たい場合は、上のリンクから PDF ファイルをダウンロードして、それと併せて見ていってください。

【1点目】カリキュラム案について

まずは、5点セットの1点目である「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」について見ていきましょう。 (ダウンロード 2.4MB)

この資料を見ると、学習者が学ぶべき / 指導者が教えるべき 内容を「生活上の行為の事例」として、場面ごとに整理された状態で確認することができます。また、各事例について、学ばれるべきやり取りや、そのやり取りをするのに必要な言語的な知識などについても詳しく記載されているので、教育プログラムの企画から授業の実践に至るまで活用できますよ。

この資料には、以下のような内容が記載されています。

内容

  • (A) 生活上の行為の事例 (p.12-p.13)
  • (B) 生活上の行為の事例に対応する学習項目の要素 (p.14-p.93)
  • (C) 社会・文化的情報 (p.94-98)

まず最初に、生活上の行為の事例が分類と共に一覧表で示されています (A) 。そして、これらの行為ができるようになるために学ばれるべき項目が、それぞれの事例について列挙されています (B) 。最後には日本語の使用とは関係のないものも含めた、学習者が知っておくべき社会・文化的情報がまとめられています (C) 。

では、ひとつひとつ見ていきましょう。

(A) 生活上の行為の事例

では、上の三つのうちの一つ目を見ていきましょう。一つ目は「生活上の行為の事例」をカテゴリーごとに分類して網羅したものです。

3段階の分類と事例

この資料では、生活上の行為の事例がカテゴリー分けされて列挙されています。例えば、「健康・安全に暮らす」という大分類の中に、「健康を保つ」や「安全に暮らす」といった中分類があり、「健康を保つ」の下には「医療機関で治療を受ける」や「薬を利用する」といった小分類が存在します。さらに、ひとつひとつの小カテゴリーの下に、個々の事例が分類されて記述されています。

各分類と事例

分類表

p.12-p.13 には、「生活上の行為の事例」がカテゴリー分けされて列挙されていますが、細かな事例部分を除外してカテゴリー部分だけをひと目でわかりやすく表にして整理したものが p.121-p.154 に記載してあります。

分類表の一部

 このように、生活上の行為の事例が詳しく分類されて記載されています。では、これらの個々の事例における学習項目の要素に関する記載を見ていきましょう。

(B) 学習項目の要素

二つ目は、それぞれの生活上の行為が行えるようになるために必要な学習項目が整理されたものです。

能力記述と場面

個々の生活上の行為の事例において、どのような学習項目の要素が含まれるのかが p.14-p.93 の 80 ページ近くに渡って詳しく記載されています。「何ができるようになるのか」 (能力記述 = Can-do-statements) 、どのような状況での行為か (場面) については、以下のような記載されています。

能力記述と場面の例

会話と文法

ここには、以下のように、当該の状況における会話のやり取りの例と、会話の機能、そして、会話内で使用される文法及び語彙、また、この行為に「話す・聞く・読む・書く」のうちの4技能のうちのどれを含むのかについても記載されています。

会話、文法等の例

このように、各分類の中の個々の事例について、学習者によって学ばれるべき内容は何であるのかが非常に詳しく記載されています。

(C) 社会・文化的情報

三つ目は、学習者のみなさんが知っておいたほうがいい社会・文化的な情報の一覧です。

「社会・文化的情報」 (p.94-98) は、災害に関わる情報やマナーに関する情報など、日本語の能力というよりは「基本的な生活基盤を形成するため,又は,安全にかかわ り緊急性があるため,情報として知っておく必要があると考えられる」ものが記載されています。

社会・文化的情報の例


では、実際にこのような能力記述リストに基づいて教育を実践することをイメージしながら考えてみましょう。

  • 考えてみよう!

このような能力記述リストに基づいた教育や、社会文化的情報を含んだ内容を伝えるという教育がどのようなものになるかイメージできましたか?どんな授業ができそうか、考えてみてください。また、イメージしにくいということでしたら、どんな点がイメージしにくいのか書き留めてみてください。


ここでは、1点目の資料である「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」を見てきました。見てきた通り、この資料は、学習者に学ばれるべきものが非常に詳しく整理されて記載されているため、教育プログラムの企画から実践、振り返りに至るまで、幅広く活躍するでしょう。

【2点目】活用のためのガイドブック

では、2点目の「カリキュラム案活用のためのガイドブック」について見てみましょう。これは、「カリキュラム案をもとに教育プログラムを作成する手順の説明」、実際に日本語教室を運営して教育を行っていくのに使えるものです。 (ダウンロード 8MB)

ある学習者に対する日本語教育プログラムをゼロから企画して授業を始めるには、考えなければならないこと・決めなければならないことがたくさんあって非常に大変な作業だと思います。このガイドブックは、このような作業を整理して、何をどういう順番で考え、決めていけばいいのかを示してくれているので、とても参考になりますよ。

 この資料の主な内容は以下の通りです。

内容

  • a. 日本語教育プログラムの作成手順 (p.7-p.14)
  • b. 日本語教育プログラムの具体例 (p.15-p.36)
  • c. 活動方法の例の具体的内容 (p.37-52)

まず最初に、日本語教育プログラムの作成手順の型が示されています (a) 。次に実際にこの型を使っていろいろな学習者のケースの教育プログラムを作成した例が記載されています (b) 。最後に、授業内で使用できる活動の一覧と、活動の具体的な使用例が示されています (c) 。

a. 日本語教育プログラムの作成手順

この資料では、まず、どのような段階を踏んで教育プログラムを作成していけばいいのかが示されています。それぞれの手順で必要な作業内容も示されています。

3つの段階

教育プログラム作成手順は、以下の図の1〜3の3段階から成ります。 (p.7)

教育プログラム作成の手順

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3つの段階

  1. 域内の外国人の状況・ニーズ、地域のリソース等の把握
  2. 日本語教室の目的や設置場所等についての検討
  3. 具体的な日本語教育プログラムの作成

各段階における作業

また、この3つの段階のそれぞれの段階で必要な作業の内容も詳しく具体的に示されています。 (画像で見る)

これらの作業の進行は、以下のような図を使って分かりやすく示されています (p.9) 。以下の図は1段階目の作業の手順を説明している箇所からの抜粋です。

教育プログラム作成の進行図 (1段階目の例)

上の図には、 1〜3 の各段階において以下のような作業があることが示されています。

「1. 域内の外国人の状況・ニーズ、地域のリソース等の把握」の作業

  • (1) 対象とする学習者の属性や数の把握
  • (2) 生活課題の把握
  • (3) 地域のリソースの把握

「2. 日本語教室の目的や設置場所等についての検討」の作業

  • (1) 日本語教室の目的を設定する
  • (2) 学習者のニーズ・地域のリソースに基づいた教室の設置

「3. 具体的な日本語教育プログラムの作成」の作業

  • (1) 学習内容について検討
  • (2) 学習順序について検討
  • (3) 学習時間について検討
  • (4) 指導者・協力者について検討
  • (5) 教室活動について検討

資料の中では、これらのひとつひとつの作業について、詳しい説明が載せられていますので、ぜひ見てみてください。

b. 日本語教育プログラムの具体例

上で見た教育プログラムの作成について、いくつかのケースを取り上げ、上記の手順で作成した場合の例も示されています。

それぞれの段階における個々の作業については、説明だけでなく、具体的なケースを取り上げての例も挙げられています。 (p.15-35)

具体例として挙げられている3つのケース

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このような3つのケースについて、上の手順で教育プログラムを作成して実行するまでの流れが20ページにわたって詳しく記載されています。

例えば、Aさんのための教育プログラムの作成手順については、以下のような具体的な例があげられています (p.15-) 。他の段階についてや、他の人についての例も詳しく書かれていますので、より詳しく知りたい場合は、ガイドブックの p.15 からをご覧ください。


段階1

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段階2

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段階3 (1-2)

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段階3 (3-4)

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段階3 (5)

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c. 活動方法の例の具体的内容

ガイドブックには、教室の内外で行える「活動」についても詳しく書かれています。「行動・体験中心の活動」を行うことが, 言語学習の進展や充実」につながるためです。

ガイドブックには、教室の内外で行える「活動」についても詳しく書かれています。「行動・体験中心の活動」を行うことが, 言語学習の進展や充実」につながるため (p.37) です。以下のようなタスク及びエクササイズについて、活動の方法が具体例と共に取り上げられています。

タスク

「タスク」は解決すべき課題を持った学習活動で、これらひとつひとつについて、カリキュラム案の「生活上の行為の事例」に沿った具体例が詳しく書かれています。 (p.38-p.47)

エクササイズ

「エクササイズ」は言語的な技能を向上させるための練習で、これらについても、詳しい具体例が挙げられています。 (p.48-p.52)

また、資料の中では、 p38-p.55 にわたり、これらの活動の具体的な例が示されていますので、ぜひそちらを参考にしてください。以下は具体例のひとつの抜粋です。

「インタビュー・アンケート」活動の例

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これは「旅行計画を立てて友だち等を誘う」というテーマの活動の中にタスク (5) の「インタビュー・アンケート」活動を取り入れている例です。

この活動の中では「適当な人からアドバイスをもらう」「インター別途で情報検索して可能な方法を選択する」といった日本語を用いた生活上の行為を学ぶことができます。


どうでしょうか?学習者のニーズに合った教育プログラムを企画できそうですか?難しそうだと感じたところはありましたか?

  • 考えてみよう!

このガイドブックの手順・構成を見て、教育プログラムを企画できそうだと思いましたか?特に重要だと思った点や、実際にやってみるに当たって苦労しそうだと感じた点を書き出してみましょう。


ここまで見てきたように、この資料は教育プログラムの企画から実践までに至る、煩雑な作業について、構造化された手順を示し、整理してくれるものです。「なんとなく」プログラムを企画して「なんとなく」授業を進めてしまっては、学習の結果を評価するのも難しく、モチベーションを維持するのも難しくなるはずです。このガイドブックに示されたようにしっかりとニーズを把握して、そのニーズを満たすような授業をデザインして、実践後に振り返れるようにしたほうがいいでしょう。

【3点目】教材例集

上で見た「行動・体験中心の活動」を伴った授業をするには、そのための教材が必要です。3点目の資料は、このような教材を作成するために役立つ「教材例集」です。 (ダウンロード 13.5MB)

ここまでの資料で、「誰に / 何を / どういう目的で」教えるのかは決められるようになったと思います。では、実際の授業ではどんな教材を使ってどのような活動をすればいいでしょうか?この資料は、統一された構成で構造化された教材の作り方を示してくれます。それだけでなく、実際の教材例も豊富に含んでいるので、毎日の授業で非常に役立つはずですよ。

教材例集の内容は以下の通りです。では、早速見ていきましょう。

内容

  • 趣旨・期待される活用方法 (p.1-2)
  • 教材例集の構成 (p.5-p.6)
  • 教材例 (p.7-p.250)

趣旨・期待される活用方法

まずは、この教材例集をより効果的に活用するため、その目的を正しく理解しておきましょう。

この教材例集を見ていく上で、以下の2つの点に留意しておく必要があります。


1. 「知っている」ではなく「できる」

はじめの講座でもこの教材例集からの引用をもとに触れましたが、文化庁のカリキュラム案における日本語教育に対する姿勢は、外国人を「生活者として」捉えるという観点にたったもので、文法などを「知っている」ことよりも、実際の生活上の行為が「できる」ようになることを重視しています。この教材例集がそのような姿勢に基づいたものであることを理解して活用する必要があります。これがひとつ目の留意点です。

2. 「そのまま」ではなく「工夫して」使う

もうひとつの留意点として、この教材例集をそのまま使用するのではなく、工夫して使用されることを想定しているという点です。教材例集の冒頭にも以下のように述べられています。

教材を中心に教室活動を考えるのではなく,あくまでも地域の実情・学習者の状況に合わせた日本語教育を行うため ,地域の実情・学習者の状況に合わせて本教材例集に工夫を行い,日本語教育に取り組んでください。 

「生活者としての外国人」に対する 日本語教育の標準的なカリキュラム案 教材例集  (p.2)

この教材例集を、自分の地域や学習者に合った教材を作る際の参考にするためのもの、という捉え方で活用していくといいと思います。


では、これらの点を踏まえて、教材例集の内容を見ていきましょう。

教材例

全ての教材例は統一した構成で作られています。以下がその構成です。

教材例は全て以下のような4つの項目から構成されています。 (p.6)

教材例の構成

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  • 写真・イラストシート
    各ユニットで取り上げる生活上の行為や 達成目標をイメージするための写真・イラスト。
  • 活動シート
    生活上の行為ができるようになるための タスクなど。
  • ことば・表現シート
    生活上の行為を行う上で役に立つ表現。
  • 別表・参考資料等
    発展的な活動,学習者に合わせた教室 活動を行うための素材。

写真・イラストシートでイメージをつかみ、活動シートで体験・活動をし、ことば・表現シートでことばや表現を知り、別表や参考資料等を使って発展的な活動を行えるようにする、というわけですね。

では、教材例の中から、教材をひとつ取り上げて、これらについて見てみましょう。

教材例の具体例

では、実際にこのような構成で作られた教材の例をひとつ見てみましょう。

教材例集の p.7-p.250 には、上で見たような構成で作られた、日本語を使った「生活上の行為」を学ぶことのできる教材例が多く掲載されています。

以下は「電車、バス、飛行機、船等を利用する」教材の教材例です (p.116) 。これはカリキュラム案「生活上の行為の事例」中の (1001020)「発車する時刻や掛かる時間を尋ねる」、 (1002060)「目的地への行き方を尋ねる」という項目として挙げられているものです。

構成

まず、教材の構成ですが、構成は以下のようになっています。

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目標とねらい

この活動の「目的とねらい」は以下のように設定されています。

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それぞれのシートの例

イメージをつかむ
  • イラスト・写真シートの例
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イラスト・写真シートとしては、このような駅の電光掲示板が載っています。また、ここでは挙げていませんが、教材例集には改札口、路線図といった画像も例として載せられています。

体験・行動する
  • 活動の例 (1) 駅員に聞く
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活動の例はいくつか挙げられていますが、ここにあるように駅員に質問する、という活動が一つ目に挙げられています。

  • 活動の例 (2) 時刻表を読む
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また、時刻表を見て電車の時間を調べるという活動の例も挙げられています。

これらの他にもいろいろな活動の教材例があげられているので、詳しくは教材例集を見てください。

ことば・表現を知る
  • ことば・表現
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これは、ことばや表現を覚えるためのシートの一部です。このように、実際の画像を見ながらことばを学んでいけるようになっています。

指導ノート (及び、発展的な活動)
  • 指導ノート
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最後には指導ノートが載っています。指導ノートには、各シートをどのように使用するか、などといった指導上のポイントが詳しく記載されています。

  • 発展的な活動
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この、乗り物に乗る教材の例の場合は、発展的な活動のためのシートは準備されていませんが、指導ノート内に発展的な活動として何ができるかという提案 (車内放送を録音して使う) がされています。


みなさんは、どの教材例に興味をもちましたか?もし、みなさんなりの工夫を付け加えて使用するなら、どんな工夫をして使いますか?

  • 考えてみよう!

教材例集の中から、興味を持った教材をひとつ選んでください。なぜその教材に興味を持ったのかを書き出して、実際に使用するとしたらどんな工夫を施すかを考えてみてください。


ここまで見てきたように、この教材例集は、単に教材のサンプルが載っているだけでなく、統一された構成で、学習に必要な要素をしっかり押さえられるように示されているのが特徴です。従って、目標の自分の学習者の目標に応じて作り替えたり、新規に教材を作る際にも役立つはずです。どうぞ自身の工夫と組み合わせて学習者の状況に合った教材を作っていってみてください。

【4点目】日本語能力評価について

4点目は「「生活者としての外国人」に対する日本語教育 における日本語能力評価について」という資料です。これは、その名の通り、学習者の日本語能力を評価するのに使える資料です。ただ、「評価」と言っても、いわゆる学校での試験のようなものによる評価ではなく、「ポートフォリオ」として記録する評価になっています。以下では、この「ポートフォリオ」形式の記録の意義と実際の運用について、この資料に沿って説明していきます。 (ダウンロード 20.3MB)

学習結果の評価は、学習者が次の目標を定めるのに役立ち、動機付けにもなります。また、学習者に教える指導者や学習者が通う教室が変わった際、新しく仕事に就いた際などにも、学習者が自分の日本語のレベルを説明するものとして役立つものになるはずです。では、どのような方法で「何ができるか」を評価し、記述すればいいのでしょうか?それらについて詳しく記載されているのが、この資料です。

 内容 

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この資料は、この図 (p.10) のように、以下の3つのパートに別れています。


  • Ⅰ. 能力評価 (日本語学習ポートフォリオ) に関する説明
  • Ⅱ. 日本語学習ポートフォリオを使用するための資料
  • Ⅲ. 日本語学習ポートフォリオ

Ⅰを読むと、ポートフォリオとは何か?どんな意義があるのか?ということが分かるようになっています。Ⅱは能力評価を行う際に使用できるロールプレイ集などが含まれています。Ⅲは能力評価を記録するポートフォリオの書式や、記入例が収録されています。

 では、上のⅠ〜Ⅲをひとつずつ見ていきましょう。

Ⅰ. 能力評価 (日本語学習ポートフォリオ) に関する説明

まず最初に、ポートフォリオ形式に評価・記録について、5つの観点から説明されています。

ここでは、この5つのポイントを以下のように短くまとめました。詳しくは資料の p.11〜p.18 を見てください。 (p.3 からにも同様の記載があります)

1. 目的

  • 学習者が継続的に日本語学習を行うことを支援するためのものである

継続的な学習を支援することが目的であり、このために「学習の目標や記録(日本語教室での学習 内容等)を蓄積したり,具体的な日本語能力の状況を記録したり」(p.3-p.4) するというポートフォリオ形式のねらいが述べられています。

2. 評価者

  • 自己 (学習者) 評価と他者 (指導者) 評価の組み合わせとする

この評価は、学習者自身の評価 (自己評価) により「学習者が自身の日本語習得状況を把握し,日本語学習を継続させていく」と同時に、指導者の評価 (他者評価) により「指導者がより適切に指導するためのもの」 (p.4) としても活用できるようになっています。

3. 評価の観点

  • 日本語を用いた生活上の行為の達成度を評価する

評価するのは「日本語に関する知識や情報の量・理解度ではなく,日本語を用いてどの程度生活上の行為ができるようになったか」 (p.4-p.5) であるという点が重要です。また、能力の評価だけでなく、「経験の記録」である日本語学習・使用等の記録を残していくことも重要だとされています。

4. 評価の枠

  • ロールプレイタスクを行い、4段階で評価する

生活上の行為の達成度を確認するためのロールプレイタスクを行い、その結果を「よくできた」「できた」「何とかできた」「もう一息」の4段階で評価し、過去の日本語学習を振り返るとともに、これからの学習や日常生活について考えられるようにします。

5. 評価の手続・方法

  • ポートフォリオに記録するという方法をとる

ポートフォリオには、ロールプレイを行った結果を記録していきます。ただ、これは「能力の審査や証明を目的とするものではない」 (p.6) という点も重要です。ロールプレイに関しては「日本語学習ポートフォリオを使用するための資料」に詳しく記載されていますので、次はそちらを見てみましょう。

Ⅱ. 日本語学習ポートフォリオを使用するための資料

ここでは、日本語能力の評価を行う手段である「ロールプレイ」について見ていきます。

前節の最後で、ポートフォリオにはロールプレイの結果を記録していくと書きましたが、このパートでは、そのロールプレイの説明 (p.40-p.42) とロールプレイタスク例 (p.43-p.49) が収録されています。 (p.20-39 には生活上の行為の一覧と能力記述の表が記載されていますが、資料1で見た通りなので、ここでは説明を省きます。)

ロールプレイタスク

では、まず「ロールプレイタスク」とは何かを確認しましょう。

ロールプレイタスクとは,学習者が日本語を用いて生活上の行為を行えるようになった かどうかを確認するための方法で,指導者と学習者の間で役割を決め実際に演じ,所定の課題を達成できたかどうかを確認します。

「生活者としての外国人」に対する日本語教育 における日本語能力評価について  (p.40)

実際の例 (p.43) を見たほうがよりわかりやすいかもしれませんね。以下の例はどろぼうに入られた場合のロールプレイの例です。学習者には被害者の役割が、指導者には警察官の役割が与えられています。

学習者のロール (被害者)

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これは学習者が読むカードです。今の状況の指示と、とるべき行動の指示がなされています。学習者はこの状況と指示に従って、日本語での行為を行います。

指導者のロール (警察官)

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これは指導者が読むカードです。学習者のものと同様に、状況の説明と行動の指示が書かれています。今回の例では、学習者からかかってきた電話に対応する警察官としての役割が指示されています。

学習者と指導者がそれぞれの役割を演じて日本語を用いた「生活上の行為」を演じ、評価を行います。ロールプレイタスク例には評価の基準となる「最低限の目的」と「それ以上のこと」が記載されています。

このロールプレイの目的

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ここには、このロールプレイで期待される「最低限の目的」と「「最低限の目的」以上のこと」が記載されています。

評価の手順

評価は4段階の評価で行いますが、それぞれの基準も示されています。また、指導者が評価を行う際の評価の手順もフローチャートで示されています。 (p.41)

評価の基準、及び評価の手順のフローチャート

よくできた

  • 学習者が,その場面で期待される最低限の目的以上のことを,母語話者からの特別な援助や配慮なしで達成できる状態

できた

  • その場面で期待される最低限の目的が,母語話者からの特別な援助や配慮がなくても達成できる状態

なんとかできた

  • その場面で期待される最低限の目的が,母語話者からの特別な援助や配慮(ゆっくり繰り返す,別の言葉で言い換える,相手の発話を 辛抱強く待つ,相手の言いたいことを推測して確かめる,一部で相 手の母語を使って説明する,など)を受けることでどうにか達成できる状態

もう一息

  • 意思疎通がうまく成立しない,またはその場面で期待される最低限の目的も達成できたとはいえない状態

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以上のように、ロールプレイタスクを活用して自己・他者評価を行ったら、それをポートフォリオ形式で記録していきます。これについては、次のパートで述べられていますので、次の節で見ていきましょう。

Ⅲ. 日本語学習ポートフォリオ

前節で、評価のためのロールプレイタスクの活用法がわかったと思います。タスクを行ったら、その評価を、学習の記録等と合わせてポートフォリオに記録していきます。

このパートには、以下の3つの種類のポートフォリオの書式と記入例が収録されています。

  1. 生活上の行為達成の記録 (p.52-p.64)
  2. 学習の記録 (p.65-p.77)
  3. 社会生活の記録 (p.78-80)

では、これらについて見ていきましょう。

生活上の行為達成の記録

これは、上で見たロールプレイタスクの結果を記録するもので、能力の変化を把握することを主目的とした部分です。以下の画像は記入例として挙げられているものです。

ロールプレイタスクの評価の記入例

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ロールプレイ等のタスクを行った日付や場所などを記載します。また、自己評価と他者評価を、上で見た4段階で記載します。ここでは、記号を使って(◎=よくできた / ○=できた / △=なんとかできた) 記入します。 (p.54)

学習の記録

学習の記録としては、 ① 教室活動の記録 と ② 毎回の学習の記録 を記録します。「教室活動の記録」は日本語教室の名前や開催日時、通った時期などについて記入できるようになっていて、「毎回の学習の記録」では1回1回の日本語 教室の内容が記入できるようになっています。これらは学習の履歴を把握するためのものです。(p.7)

それぞれについて、以下の画像のような記入例が挙げられています。 (p.66, p.72)

学習の記録の記入例

① 教室活動の記録

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② 毎回の学習の記録

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社会生活の記録

最後は「社会生活の記録」です (p.78-80) 。日本語教室以外の場面において、日本語を用いて生活上の行為を行った記録や居住地、仕事などの、日本語学習の背景的な情報を記載するページとなっています。

社会生活の記録の記入フォームと記入例

記入フォーム

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記入例

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このフォームは、日本語で書くことが期待されますが、学習者が母語で書いても構いません。


学習者を評価し、ポートフォリオとして記録する手順はわかりましたか?現場でのみなさんの活動に使えそうでしょうか?

  • 考えてみよう!

実際に教育の現場で、このような評価方法や評価の記述方法を行うことをイメージして、どんな点に注意して行ったらいいかを考えてみてください。また、難しそうだと感じたところなどがあったら、それも書き出してみてください。


ここまで丁寧に揃えてくれていれば、評価もだいぶ楽になりますね。これで、1点目のカリキュラム案で整理された項目リストを元に、2点目のガイドブックで示された構成で教育プログラムを作成し、3点目の教材例で示された教材で活動を行い、その結果をここで見た4点目の能力評価に基づいて記録していくところまで来ました。

【5点目】指導力評価

カリキュラム案を元に作ったプログラムで教育を行ったら、それで終わりではなく、振り返って改善し、次に繋げていくことが必要ですね。そのためには、学習者だけでなく、指導者も教育プログラムの実施を振り返ることができるようなポートフォリオをもつことが必要ではないでしょうか。

最後の資料は、指導者やコーディネーターが授業や教育プログラムを記録して振り返り、改善につなげていくおとのできるような、指導者用のポートフォリオを作成するためのものです。 (ダウンロード 3MB)

自分の行ってきた教育プログラムを振り返ると言っても、どこをどのように評価すればいいのか、と戸惑うかもしれません。この資料は、チェック項目の一覧を提示してくれていますので、その一覧から自分の状況に合わせて必要なものを選んでチェックしていくだけでいいんです。教育内容を改善していくのに役立ちますよ。

この資料は、以下のような構成になっています。

 内容 

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この資料は、この図のように、以下の3つのパートに別れています。


  • 1. 指導力評価について
  • 2. 日本語指導力ポートフォリオについて
  • 3. 研修のプログラムの例について
  • 4. 参考

1では、指導力ポートフォリオがなぜ必要で、どのようなものであるのかが分かります。2はこの資料の本体とも言える部分で、実際に指導力ポートフォリオを作成する上で必要な項目の一覧やチェックシートが収録されています。3は指導力向上のための研修プログラムの企画・実施に当たって参考になる資料です。

では、これらについて見ていきましょう。

1. 指導力評価について

このパートでは、以下の6つの論点から、指導力ポートフォリオがどんな目的のもので、どのように活用されると想定されているものであるかが述べられています。

以下は、 p.2-4 及び p.10-19 で述べられている指導力ポートフォリオについての記述を短くまとめたものです。

1. 評価の目的

  • 指導力の向上を図り、「生活者としての外国人」のニーズにより一層応えうる日本語教育の実現につなげる

もちろんですが、評価すること自体が目的ではありません。カリキュラム案に基づいたプログラムの実践を評価してその後の改善・向上につなげていくことが目的です。

2. 評価の対象 (何を評価するか)

  • 日本語の指導をする能力、及び、教育プログラムを企画・実施・点検・改善していく能力

日本語を指導する能力はもちろんですが、カリキュラム案に基づいた教育プログラムを、企画 (Plan) 、実施 (Do) 、点検 (Check) 、改善 (Action) という PCDA サイクルに基づいて行う能力を評価するものです。

3. 評価対象者 (誰を評価するか)

  • 日本語の指導に携わる者 (指導者) 、及び、日本語教育プログラムの実践に携わる者 (コーディネーター)

上の2で見たように、指導力だけでなく教育プログラムの運用の評価も含むため、地域の日本語教育を直接的に行う人だけでなく、教育プログラムの運営を行う側の評価もできるようになっています。

4. 評価者 (誰が評価するか)

  • 実践者自らの自己評価

教育の実践者が自らの指導力を把握して意識的に向上に取り組むことができるようにすることが目的であるため、基本的には実践者自身による自己評価として使用することが想定されています。

5. 評価の方法

  • 実践者が自分に必要な項目を選択して作成したチェックシートを使用する

教育プログラムの内容に応じて、実践者が必要な項目を選択してチェックシートを作成し、そのチェックシートの各項目に3段階の評価をしていく形式となっています。

6. 評価で使用する資料

  • 日本語指導力ポートフォリオを中心とした手引きを使って評価を行う

日本語指導力ポートフォリオ (① 指導力評価項目一覧、② チェックシート、③ 実践の記録、④ 研修受講の記録、を蓄積したもの) を中心とした、指導力評価の手引きを使って評価を行っていきます。

では、この指導力評価の中心となる日本語指導力ポートフォリオについて、詳しく見ていきましょう。

2. 日本語指導力ポートフォリオについて

では、指導力ポートフォリオを構成するひとつひとつの要素について見ていきましょう。

日本語指導力ポートフォリオは、「指導力に関するチェックシート」「日本語教育プログラムの実践の記録」「研修受講の記録」の3種類の記録を蓄積したものです。

では、この3つについて、ひとつずつ見ていきましょう。

チェックシート

  • 評価項目

指導力の評価項目は多岐にわたっており、 PDCA の各段階に分類された全113項目が網羅的に列挙されています。(p.24-p.29)

各評価項目の冒頭部分

企画 (Plan) に関するもの

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点検 (Check) に関するもの

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実施 (Do) に関するもの

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改善 (Action) に関するもの

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しかし、この全ての項目を評価しなければならないわけではありません。どんな地域で誰に対してどんな目的で日本語を教えているのか、自分は指導者なのか、それともコーディネーターなのか、といったことによって、評価が必要な項目は異なるはずです。

ですから、これらの評価項目の中から、自分に必要なものを抜き出して評価を行っていくことになります。

  • 評価の記入方法

評価は、評価項目を3段階で自己評価していくという方法で行います。以下のように、評価項目の表に評価を書き込んでいきます。

評価の記入の例

このように、まず使用する評価項目にチェックを入れ、さらに、評価を行った日付を記入したうえで、その項目の評価を3段階評価 (◎ ○ △) で書き込んでいきます。

資料の中では、教育プログラムの実践者として以下のような4つのケースを取り上げ、それらの各ケースについてのチェックシートの例が挙げられていますので、参考にしてみてください。 (p.31-39)

日本語教育プログラムの実践の記録

これは教育の実践に当たっての課題、目標、経過、成果等を記録するもので、例えば、以下のように記入します。 (p.40-41)

教育プログラムの実践の記録の例

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どのような日本語教育プログラムを実践したか、どういう目的で実践したか、また、成果はどうであったか、ということを書き込んでいきます。

これをチェックシートと照らし合わせることで、指導力についてより具体的に考えることができます。

研修受講の記録

これは、指導力の向上のために受講した研修について記録するものです。 (p.42-p.43)

研修受講の記録の例

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いつどこでどのような講習を受講したかを記録します。これも、チェックシートと照らし合わせることで、指導力の向上に向けてどのような取り組みをし、その結果指導力がどのように変遷したかを考えることができます。

このような情報を指導者同士で共有し、指導力の向上のための効果的な取り組みを共有することができます。

3. 研修のプログラムの例について

指導力を向上させるには、指導者やコーディネーターが受講できるような研修を企画して実施するという方法もあります。ここでは、そのような研修プログラムの企画・実施について述べられています。

ここでは、研修プログラムの例として、4つのケースが挙げられています (p.44-p.47) 。以下にそのうちのひとつを転載します。

研修プログラムの例

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「対象」「目的」「内容」「流れ」という項目に分けて研修プログラムの情報が記載されています。

4. 参考

「参考」のパート (p.48-p.52) には、上の3で見た指導能力評価チェックシートを Excel データの状態で使うことで、とても便利に使う使い方が説明されています。

上で見たチェックシートは、人よって使う部分が異なるため、実際には使用しない部分も多く含まれます。以下の URL からダウンロードできる Excel ファイルは、内容は上で見たチェックシートと同じ項目から成りますが、使用しないものをまとめて非表示にしてくれる機能があります。紙が不要な方はこちらが便利だと思います! (* ただし、こちらで試したところ、 Windows 以外の端末ではこの機能が動作しないようです)



これで、自身の教育の内容を振り返り、改善につなげていけますね!活用法などについて、不明な点などはありますか?

  • 考えてみよう!

このフォーマットを使って実際に授業を振り返ることを想像してみてください。うまく活用できそうだと思った点や、そうでない点などを書き出して、まとめてみてください。


このように、この資料は、指導力を向上させたり教育プログラムを改善していったりするために、指導力ポートフォリオを作成して記録をしたり、研修プログラムを企画して実施することが重要であるということ、そして、それらをどのように実行していくかがよく分かるものになっています。ぜひ、この資料を活用して生活者としての外国人に対する日本語教育プログラムを発展させていきましょう。

おわりに

ここまで、日本語教育プログラムと標準的カリキュラム案について見てきましたが、この5点セット活用できそうでしょうか?

この講座では、「生活者としての外国人」に対する日本語教育の企画と実施について、文化庁のカリキュラム案に基づいて見てきました。上で見た通り、教育プログラムを実施する上で活用できる資料が多くありますので、ぜひ活用してみてください。

ここで挙げた以外にも日本語教育コンテンツ共有システム「NEWS」のサイトには日本各地で作成された教材が対象者や学習内容別に収められています。また、日本で生活する外国人が日本語でコミュニケーションをとり、生活できるようになることを目指して作られたウェブサイトである「つながるひろがる にほんごでのくらし」では、日本語のレベルや、学習したい生活の場面、キーワードに応じて学習コンテンツを選択して学習することができます。これらのサイトもぜひ参考にしてみてください。